半導体 vs 公共下水:排水処理技術の工程別・物質別 徹底比較
🗓 Created on 9/24/2025
概要
04. 流量・変動の確認 : [処理工程・比較項目 : 04. 流量・変動の確認, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 製造プロセスの稼働状況により、排水の流量や水質は時間帯によって大きく変動します。そのため、調整槽で一時的に排水を貯留し、流量や濃度を平準化することで、後段の処理設備を安定して稼働させます。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 降雨時や、人々の生活サイクルに起因する朝夕のピーク時など、時間帯による流入量の変動を調整槽で吸収し、後段の生物処理などが常に安定した状態で運転できるようにします。, 主要な対象物質・論点 : 流量・水質の変動緩和、処理全体の安定化, 課題・トレードオフ : 排水の流量や水質の変動を緩和し、処理全体の安定化を図るという目的は両分野で共通しています。悪臭の発生防止対策が必要となる場合があります。, 出典URL : https://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/kankyou3743.pdf https://www.mlit.go.jp/common/001033454.pdf], 03. 主要汚濁物質の特定 : [処理工程・比較項目 : 03. 主要汚濁物質の特定, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : フッ素、重金属、CMPスラリーの微粒子、IPA、TMAHなどの有機物、TOC、PFASといった、製造プロセスで使用される多様な化学物質が対象となる。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 生活排水由来の粗大ごみ、土砂、浮遊物質(SS)、BOD、CODに加え、富栄養化の原因となる窒素、リンが主な対象。その他、カビ臭や微量汚染物質、PFASも含まれる。, 主要な対象物質・論点 : 半導体はプロセス由来の特定化学物質、公共は生活由来の一般汚濁物質と富栄養化物質が中心。PFASは両分野での新たな共通課題となっている。, 課題・トレードオフ : 半導体は多種多様な化学薬品に対応する必要があり処理が複雑化する。公共は広範な排出源からの微量化学物質の管理が課題となる。, 出典URL : https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/db/pdf/end_houkoku/3-1904.pdf https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf], 01. 基本戦略の策定 : [処理工程・比較項目 : 01. 基本戦略の策定, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 特定の汚染物質(フッ素、有機物など)に対し、凝集沈殿、生物処理、高度処理(イオン交換、RO膜等)を組み合わせる。近年は単なる除去だけでなく、晶析技術によるフッ素の有価物回収や、処理水の再利用(超純水製造)による資源循環が重視される。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : スクリーン、沈殿池での物理処理を前段とし、活性汚泥法による生物処理を中核に据えて、多様な生活排水由来の汚濁物質を大規模に集中処理する。富栄養化対策として窒素・リンを除去する高度処理(A2O法など)が発達している。, 主要な対象物質・論点 : 半導体は「有価物回収」と「水の再利用」による資源循環、公共は「広域・集中処理」と「富栄養化防止」が基本戦略の論点となる。, 課題・トレードオフ : 半導体は有価物回収のための高度な設備投資が課題となる。一方、公共下水では広大な面積を要する大規模施設での安定運転と、ピーク流量への対応が課題となる。, 出典URL : https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf], 02. 処理の課題の管理 : [処理工程・比較項目 : 02. 処理の課題の管理, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 難分解性有機物(TMAH、PFAS)の処理、汚泥(フッ化カルシウム等)の処理・再資源化、高度処理(膜、吸着剤)の維持管理(目詰まり、再生)、濃縮水の処理、AI/IoT導入のためのデータ整備が主な課題となる。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 汚泥(活性汚泥)の処理・資源化(エネルギー、リン回収)の採算性確保、高度処理(A2O法、MBR)の安定運転管理、膜の目詰まり対策、AI/IoT導入と熟練技術者のノウハウ継承が課題となる。, 主要な対象物質・論点 : 両分野に共通する課題として、PFASの除去・分解技術の確立、汚泥の減容化と資源化、高度処理技術のコストと維持管理、AI/IoT活用による運転最適化が挙げられる。, 課題・トレードオフ : 汚泥の性質(無機系 vs 有機系)が異なり、資源化の方向性(有価物回収 vs エネルギー・肥料化)が異なる。PFASについては、吸着・分離後の濃縮物の最終処分が共通の大きな課題となっている。, 出典URL : https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf], 05. 受入・分流(源流管理) : [処理工程・比較項目 : 05. 受入・分流(源流管理), 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 排水処理設備の最前段にスクリーンが設置され、排水中に混入した比較的大きな固形物や異物を除去します。後段のポンプや精密な膜などの処理設備を物理的な損傷から保護する重要な役割を担います。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 下水処理場に流入する下水から、粗大なごみや木片などをスクリーンで物理的に除去する最初の工程です。その後、沈砂池で下水の流速を緩やかにして、土砂や小さな固形物などを沈殿させて取り除きます。, 主要な対象物質・論点 : 固形物、粗大ごみ、土砂の物理的除去, 課題・トレードオフ : 両分野ともに、後段の設備を保護するための基本的な前処理工程という点で共通しています。除去した固形物(スクリーンかす)の適切な処理・処分が共通の課題となります。, 出典URL : https://www.nedo.go.jp/content/100979055.pdf https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf], 06. 前処理(中和・凝集) : [処理工程・比較項目 : 06. 前処理(中和・凝集), 半導体工場排水の処理技術・特徴 : フッ素、重金属、CMP排水の微粒子などを薬品で不溶性の固形物(フロック)にし、沈殿させて除去します。特にフッ素除去に多用されます。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 生物処理の前段に設置される「最初沈殿池」で浮遊物質を重力沈降させ、後段の生物処理の負荷を軽減します。また、化学処理として凝集剤を添加し、富栄養化の原因となるリンを除去する目的でも利用されます。, 主要な対象物質・論点 : フッ素、重金属、CMP微粒子(半導体)、浮遊物質(SS)、リン(公共), 課題・トレードオフ : 両分野で広く使われる基本技術ですが、対象物質が異なります。薬品コストと、発生した汚泥の処理が共通の課題となります。, 出典URL : https://site.awi.co.jp/product/read/case/case3.html https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/db/pdf/end_houkoku/3-1904.pdf], 07. 一次化学/物理処理 : [処理工程・比較項目 : 07. 一次化学/物理処理, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 晶析技術を用いたフッ素回収装置「エコクリスタ」のような先進技術が開発されています。排水中のフッ素を純度95%以上のフッ化カルシウム(人工蛍石)として結晶化・回収し、フッ酸の原料として再利用することで、廃棄物削減と資源の有効活用に貢献します。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 一般的には「最初沈殿池」での物理的な沈殿処理がこの工程に該当します。凝集剤を添加して沈殿効果を高めることもありますが、特定の物質を狙った高度な分離回収は行いません。, 主要な対象物質・論点 : フッ素の有価物回収(半導体)、浮遊物質(SS)の除去(公共), 課題・トレードオフ : 半導体分野では単なる除去から「晶析」による有価物回収へと技術が進化している点が特徴です。薬品コストと、発生した汚泥や濃縮水の処理が共通の課題となります。, 出典URL : https://www.organo.co.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/CSRReport_2019.pdf http://www.mizumirai.net/shorij/index.htm], 08. 生物処理 : [処理工程・比較項目 : 08. 生物処理, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 洗浄工程で使われるIPAやTMAHといった有機物を微生物の働きで分解します。好気性の活性汚泥法が一般的ですが、難分解性のTMAHには嫌気性処理も有効で、発生したメタンガスをエネルギー源として回収できます。また、膜分離活性汚泥法(MBR)も用いられ、高品質な処理水を得て工場内で再利用されることが多いです。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 生活排水などを浄化する下水処理で最も中核的な技術です。「標準活性汚泥法」で有機物を分解し、さらに窒素やリンも除去する「高度処理」として「嫌気無酸素好気法(A2O法)」などが導入されています。MBRも設置面積を小さくできるため導入が進んでいます。, 主要な対象物質・論点 : IPA、TMAH(半導体)、BOD、窒素、リン(公共), 課題・トレードオフ : 微生物で有機物を除去する原理は共通ですが、対象物質が異なります。半導体は特定の難分解性有機物、公共は生活排水由来の多様な有機物と窒素・リンが対象です。安定した微生物群の管理や、MBRにおける膜の目詰まり対策が共通課題です。, 出典URL : https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/db/pdf/end_houkoku/3-1904.pdf https://www.mlit.go.jp/common/001033454.pdf], 09. 高度処理 : [処理工程・比較項目 : 09. 高度処理, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : イオン交換樹脂によるフッ素や重金属等のイオンの高度除去、PFAS除去、TMAHの濃縮。活性炭吸着によるTOCやPFASの除去。高度酸化処理(AOP)によるTMAH等の難分解性有機物やPFASの分解。逆浸透膜(RO)処理によるイオン類やPFAS等の分離・回収。これらは処理水を再利用するための超純水製造に不可欠な技術群です。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 浄水処理や下水処理の三次処理として、イオン交換(硬度成分、硝酸性窒素、PFAS除去)、活性炭吸着(カビ臭、PFAS除去)、AOP(微量汚染物質、COD除去)、RO処理(海水淡水化、下水再利用、PFAS除去)などが導入されます。, 主要な対象物質・論点 : フッ素、重金属、TOC、TMAH、PFAS(半導体)、硬度成分、硝酸性窒素、カビ臭、微量汚染物質、COD、PFAS(公共), 課題・トレードオフ : PFAS除去という共通課題に対し、各技術が活用されます。AOPは分離・除去ではなく分解・破壊する点で他と異なります。処理コストの高さ、使用済み樹脂や活性炭の再生・処理、RO膜の濃縮水処理などが共通の課題です。, 出典URL : https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/db/pdf/end_houkoku/3-1904.pdf https://www.nedo.go.jp/content/100979055.pdf https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf], 10. 回収・濃縮物処理 : [処理工程・比較項目 : 10. 回収・濃縮物処理, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : 凝集沈殿処理などから発生する無機汚泥が主となります。フッ化カルシウムやシリコンなどを含み、汚泥発生量を抑制する技術と共に、セメント原料や有価物として回収・再資源化する取り組みが進められています。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : 主に生物処理から発生する有機性汚泥が対象で、資源・エネルギー源として積極的に活用されます。代表的な技術は嫌気性消化による消化ガス発電です。さらに、汚泥中のリンを回収し肥料原料として利用する技術開発が重要視されており、MAP法やHAP法、灰アルカリ抽出法などが実用化されています。, 主要な対象物質・論点 : 無機汚泥(フッ化カルシウム、シリコン)の有価物回収(半導体)、有機汚泥のエネルギー回収(消化ガス)とリン回収(公共), 課題・トレードオフ : 発生汚泥の減容化は共通課題ですが、汚泥の性質が大きく異なります。半導体は無機汚泥で有価物回収、公共は有機汚泥でエネルギー・リン回収が志向されます。特に公共のリン回収では、薬品コストや設備投資に対し回収物の市場価格が低く、事業採算性の確保が大きな課題です。, 出典URL : https://www.nedo.go.jp/content/100979055.pdf https://www.erca.go.jp/suishinhi/seika/db/pdf/end_houkoku/3-1904.pdf], 11. 放流/再利用・運用最適化 : [処理工程・比較項目 : 11. 放流/再利用・運用最適化, 半導体工場排水の処理技術・特徴 : MBRやRO処理で得られた高品質な処理水を、さらに高度な処理を経て工場内で超純水などとして再利用する動きが活発です。AIやIoT技術を活用し、RO膜の洗浄タイミング最適化などにより、水回収率の向上と運転コスト削減、安定稼働を目指します。, 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 : RO膜処理水は工業用水などへの再利用が進められます。AIやIoT技術を活用し、生物反応槽への送風量を最適化することで消費電力を削減するなど、省エネ、水質改善、熟練技術者のノウハウ継承に貢献しています。, 主要な対象物質・論点 : 「水の再利用」と「AI/IoTによる運転最適化」が両分野の共通の論点です。半導体は工場内でのクローズドループ化、公共は省エネや運転効率化が主な目的です。, 課題・トレードオフ : AI/IoT活用におけるデータ収集のハードルや既存システムとの連携、人とAIの適切な役割分担が新たな共通課題として挙げられます。, 出典URL : https://www.nedo.go.jp/content/100979055.pdf https://www.env.go.jp/content/000185566.pdf https://www.kinki-shasej.org/upload/pdf/kankyou3743.pdf]
カラム構成
| カラム名 | タイプ |
|---|---|
| 処理工程・比較項目 | TEXT |
| 半導体工場排水の処理技術・特徴 | TEXT |
| 公共下水(自治体)の処理技術・特徴 | TEXT |
| 主要な対象物質・論点 | TEXT |
| 課題・トレードオフ | TEXT |
| 出典URL | TEXT |
データ件数
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