新規事業「データアナリティクス事業」の立ち上げ

#### 新規事業「データアナリティクス事業」の概要 キーエンスは、「データ活用の民主化」を掲げた新規事業「データアナリティクス事業」を立ち上げ、現在「コンサルティングセールス」と「データサイエンティスト」の採用を強化しています。この事業は、同社が1974年の設立以来掲げてきた「付加価値の創造」の一環として展開されており、企業活動をデータで科学的に捉えるという社名の由来「Key of Science」を体現するものです。事業責任者の井上泰平氏は、キーエンス社内で培ったデータ活用やデータ主導の事業推進のノウハウを、顧客企業に提供することを目指しています。 #### データアナリティクス プラットフォーム「KIシリーズ」の位置づけ データアナリティクス事業の具体的なプロダクトとして、データアナリティクス プラットフォーム「KIシリーズ」が提供されています。これはキーエンスにおけるデータ活用のノウハウを具現化したもので、ビジネスユーザー向けの実践的データ分析ソフトウェアであり、機械学習を活用したサブスクリプションサービスです。単なるツールの提供に留まらず、テクノロジーはあくまで手段であるという考えのもと、顧客企業の組織的なデータ活用やデータ分析の民主化に「伴走」することを重視しています。 #### キーエンスが目指す「データ活用の民主化」 キーエンスのデータアナリティクス事業が目指すのは、「データ活用の民主化」です。これは、一部の専門家による分析や、ビジネス現場の経験と勘に頼った施策立案といった現状を変え、データに基づいた意思決定をより多くの企業が行えるようにすることです。組織全体でデータを活用できる状態を習慣化させるため、KIシリーズと組織改革、人材育成の両面から支援を提供し、顧客自身がデータ活用において「自走する力」を身につけることを目標としています。 #### 企業が抱えるデータ活用の課題とKIシリーズの解決策 多くの企業は、データ活用において以下のような課題に直面しています。 * **専門人材の不足**: 高度な知識が求められる分析に対し、専門人材が不足しており、日本はデータ後進国と言われる状況です。 * **組織内の知識のギャップ**: 少数の専門チームが分析を担う場合、ビジネス現場と分析チームの間でドメイン知識に差があり、分析結果が現場で活用されないことがあります。 * **バイアスと客観性の欠如**: 分析者のバイアスにより、客観的・定量的な意思決定につながらない課題があります。 * **施策実行の難しさ**: 分析結果を実際のビジネスアクションに落とし込み、徹底させ、効果測定を行うプロセスに課題があります。 KIシリーズは、これらの課題に対し、膨大なデータから有効な切り口を自動で見つけ、的確かつスピーディーに施策を打つことを可能にします。ツール導入だけでなく、ビジネス理解に基づいた分析結果の解釈や適切なアクション、組織変化、人材育成までを伴走することで、企業のデータ活用サイクルを大きく、速く回すことを支援します。 #### KIシリーズの導入事例とターゲット層 データアナリティクス プラットフォーム「KIシリーズ」は、すでに以下の大手企業を含む幅広い業界で導入されています。 * キリンビール * ローソン * SMBC⽇興証券 * 清水建設 導入されている業界は、銀行、証券会社、飲料メーカー、不動産管理会社など多岐にわたり、マーケティング部門、営業部門、バックオフィスなど様々な部門で活用されています。これはKIシリーズが特定の業界や部門に限定されず、データ分析が必要なあらゆるビジネス課題に対応できる柔軟性を持っていることを示しています。 #### 事業責任者 井上泰平氏の役割とビジョン 井上泰平氏は、キーエンス社内でデータ分析プロジェクトを組織し、その後新規事業としてデータアナリティクス事業を立ち上げました。彼は、クライアント企業におけるデータ活用プロセスをレビューし、進むべき道を照らす「伴走役」としての役割を強調しています。この事業を通じて、クライアントがPDCAサイクルを回す支援を行い、最終的には組織全体でデータ主導の事業推進ができる状態を目指しています。 #### 今後の展望と採用戦略 キーエンスのデータアナリティクス事業は、今後日本の産業全体のデータ活用に繋がる、インパクトの大きい事業であると位置づけられています。難易度は高いものの、多様な事業ドメインや組織の課題に最上流から向き合い、新しい価値を創造していく非常にエキサイティングな仕事であるとされています。現在の採用強化は、顧客企業のデータ活用へチームで伴走し、サービスをより良くしていくための重要なステップであり、事業のさらなる成長と社会への貢献を見据えたものです。