📜 要約
### 主題と目的
本調査レポートは、ASEAN(東南アジア諸国連合)における日系企業の進出状況、成功事例、そして今後の課題について分析することを目的としています。具体的には、ASEAN経済の成長と外国直接投資(FDI)の動向、日系企業の進出の歴史と現状、成功事例、生産拠点移転の現状、市場統合の現状、そして今後の課題と展望について詳細に調査しました。この調査を通じて、日系企業がASEAN市場で成功するための戦略と、今後のビジネスチャンスを明確にすることを目的としています。
### 回答と発見
#### ASEAN経済成長とFDIの動向
ASEANへのFDIは2023年に過去最高の2,300億ドルに達し、開発途上地域で最大の受入先となりました。特に金融活動への投資が増加しており、製造業も依然として重要なFDI受入先です。新規のグリーンフィールド投資プロジェクトの発表件数は2023年に倍増しました。投資元としては、米国と中国からの投資が増加しています。ASEAN経済共同体(AEC)2025は、投資環境を改善し、FDIを促進する上で重要な役割を果たしており、AEC 2025期間中、FDI流入額は年間平均1,700億ドルに達しました。製造業へのFDIは倍増し、ASEANがグローバルな製造拠点としての地位を確立しました。今後10年間で、ASEANへのFDI流入額は年間平均3,000億ドルを超える可能性があります。
| 項目 | 2023年実績 | AEC2025期間中平均 | 今後10年間の予測 |
| :------------------------- | :------------------ | :--------------- | :------------- |
| FDI流入額 | 2,300億ドル | 1,700億ドル | 3,000億ドル超 |
| 製造業へのFDI | 倍増 | 倍増 | - |
| 主要投資元 | 米国、中国 | 米国、中国、EU | - |
#### 日本からの対ASEAN投資
2021年の日本の対外直接投資統計によると、ASEANへの投資は前年比64.3%増の3兆1900億円に達しました。特にシンガポール、ベトナム、マレーシアへの投資が拡大しています。ASEANへの投資は日本の対外直接投資全体の20%を占め、EUの2倍、中国の3倍の規模となっています。シンガポールはASEAN最大の投資先で、前年比2.4倍増の1兆9580億円に達しました。ベトナムは65.2%増の4160億円で2位、マレーシアも49.0%増の2280億円と好調でした。一方、タイ、インドネシア、フィリピンへの投資は減少しました。
| 投資先 | 投資額(2021年) | 前年比増減率 |
| :----------- | :------------- | :--------- |
| シンガポール | 1兆9580億円 | 2.4倍増 |
| ベトナム | 4160億円 | 65.2%増 |
| マレーシア | 2280億円 | 49.0%増 |
#### 各国における投資の具体的な事例
* **タイ:** 日本からの投資承認額は前年比47.5%増の2810億バーツで、石油化学製品製造、工業用化学製品製造、輸送機器用ボールベアリング製造への大型投資が行われました。
* **ベトナム:** 日本からのFDI承認額は前年比3倍増の36億5000万米ドルで、シンガポール、韓国に次ぐ3位でした。火力発電所プロジェクトや段ボール製造プロジェクトへの投資が目立ちます。
* **マレーシア:** 日本からの投資は前年比4.6倍増の75億3700万リンギットに急増し、半導体工場の新設、積層セラミックコンデンサ製造の拡張、自動車用半導体製造の拡張などが含まれます。
* **カンボジア:** 日本はカンボジアへの5番目の投資国で、承認ベースで約6200万米ドルと前年比8.6倍の投資を行いました。製造業における事業拡大やショッピングモールの拡張への投資が目立ちます。
#### 日系企業のASEAN進出の歴史と現状
日系企業のASEAN進出は、1973年のASEAN-Japan Synthetic Rubber Forum設立を機に始まり、1980年代後半のプラザ合意後の円高を背景に大幅に増加しました。1990年代には、情報通信技術の進歩に伴い、グローバルな生産分業が進み、対ASEAN投資はさらに拡大しました。現在、ASEANのGDPは約3.62兆ドルに達し、生産拠点から巨大な消費センター、そしてイノベーションセンターへと変貌を遂げています。ASEAN自動車産業においては、日系自動車メーカーが販売と生産の両方で約80〜90%の市場シェアを保持しています。
#### ASEANにおける日系企業の成功事例
東南アジア市場において、日本企業のブランド力は高く評価されており、特に技術力、効率性、革新性が強みとなっています。
| 企業名 | 特徴
| 無印良品 (Muji) | ミニマリストなデザイン、地域に合わせた商品展開、SNSを活用したユーザー参加型キャンペーン
| ドン・キホーテ (Don Don Donki) | 雑然とした店舗レイアウト、深夜営業、オンラインデリバリーサービス