令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」採択事業社の分析

成果と今後の展望

詳細

• ナイジェリアの人口の約半数が農林水産業に従事しているが、小規模農家は経済的理由から農機具の購入が困難で、銀行融資も受けられない
• 手作業による非効率な農業を続けざるを得ず、貧困状態から抜け出せない悪循環に陥っている
• ナイジェリアにおいて、農地衛星情報を活用した農家の与信管理による小規模農家向けのマイクロファイナンスサービスの提供に向けた実証を実施
• 取り扱う農機の数を過去の実証の10倍程度に増やし、より大きな規模での実証を行う
• 将来的にはキャッシュによる融資を想定しつつ、今回は高品質な農業機械を生産時に提供もしくはレンタルすることで収量の増加を支援し、収量増～確実な与信～融資のサイクル実現を目指す
• スペースシフトはAI技術を活用した衛星画像解析、および農作物の生育状況のデータ化を担当
• スタンデージはナイジェリア農家に提供する農機・農業資材の調達、保管、共有およびアフターメンテナンスなどのサプライチェーン管理を担当

• 144件の応募があり、外部有識者による審査委員会の厳正な審査の結果、36件の応募者が採択された
• 採択事業者には、株式会社愛亀、株式会社STANDAGE、インスタリム株式会社など、様々な分野の企業が含まれている
• 事業内容は、西アフリカにおける道路維持補修システムの実証、インドの義足製造DXソリューションの試験導入、モーリシャスでの海洋温度差発電の調査など、幅広い分野にわたっている

令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」採択事業社の分析 - 成果と今後の展望

成果と今後の展望

採択事業の概要

• 西アフリカ(ナイジェリア、ガーナ)での道路維持補修一体化システムの実証事業
• インドでの義足製造DXソリューションの試験導入による課題解決
• モーリシャスでの海洋温度差発電(OTEC)のための海洋深層水取水管設置に関する調査
• パラオでの再生可能エネルギー系統安定化のための「疑似慣性」技術の導入
• マレーシア、インドネシア、フィリピンでのDAC(Direct Air Capture)事業の可能性調査
• インドネシアでの民間資本を活用した島間連系線事業の可能性調査
• ナイジェリアでの衛星データを活用した小規模農家向けマイクロファイナンスサービスの実証
• コロンビアでのグリーン水素の地産地消市場創出と大規模製造・供給事業の可能性検討
• ベトナムでのマイクログリッドによるフードサプライチェーンの脱炭素化
• インドネシアでの再エネ電源供給、省エネサービス、脱炭素燃料供給などの都市開発・工業団地での取り組み
• パラオ、パプアニューギニアでの金融システム高度化に向けた実証事業
• ベトナムでの農業DX・GXツールの大規模運用実証
• マレーシアでの洪水予測機能の高度化
• ブラジルでのIoT傾斜センサーを活用した斜面防災モニタリングサービスの展開
• フィリピンでのSAF(Sustainable Aviation Fuel)原料拠点開発と観光振興事業の可能性調査
• インドネシアでの既設石炭火力のガスコンバインドサイクル転換と水素燃焼適応型発電の可能性調査
• マレーシア、インドネシア、シンガポールでのAIを活用した次世代インクルーシブ教育プラットフォームの実証
• ベトナムの工業団地でのエネルギーマネジメントシステムの構築
• インドでのグリーンメタノール製造と日本への供給に関する事業化調査
• タイでの非可食バイオマスからのバイオ化成品製造サプライチェーン構築

成果と今後の展望

• 西アフリカ、インド、モーリシャスなどでのインフラ整備や製造業の高度化、再生可能エネルギーの導入など、グローバルサウス諸国の経済社会課題に対する日本企業の技術力が実証される
• パラオ、パプアニューギニア、ブラジル、フィリピンなどでの防災・金融・教育分野での新たなソリューションの可能性が示される
• インドネシア、ベトナム、コロンビアなどでの脱炭素化に向けた取り組みが進展し、日本企業の環境技術の活用が期待される
• 採択事業の成果を通じて、グローバルサウス諸国と日本企業の経済連携が強化され、新たな事業機会の創出につながることが期待される