📜 要約
主題と目的の要約
今回の調査は、SaaS(Software as a Service)ビジネスモデルにおけるARPA(アカウント単位の平均利用単価)についての理解を深めることを目的としています。ARPAは、1アカウントあたりの平均収益を示す重要な指標であり、企業の利益性を評価するために用いられます。この調査では、地域別および業種別のARPAの違い、主要なSaaS企業の料金モデル、そしてARPA向上のための施策について詳しく分析しました。
主要な内容と発見
-
地域別および業種別のARPAの違い:
- 米国のSaaS企業では、PLG(Product-Led Growth)型の戦略を採用する企業が多く、3-4プランを提供する傾向があります。
- 無料トライアルや従量課金モデルが主流であり、これらがARPAに影響を与えています。
- ホリゾンタル型の企業は競争が激しく、価格の透明性が求められるため、価格を公開する割合が高いです。
- バーティカル型の企業は特定の業界に特化しており、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい傾向があります。
-
主要なSaaS企業の料金モデル:
- 多くのSaaS企業は、複数の料金プランを提供し、ユーザーのニーズに応じた選択肢を提供しています。
- 無料トライアル期間を設けることで、ユーザーがサービスを試用しやすくし、最終的な契約に繋げる戦略が一般的です。
- 従量課金モデルを採用する企業も多く、使用量に応じて料金が変動する仕組みを取り入れています。
-
ARPA向上のための施策:
- アップセル・クロスセルの促進:既存顧客に対して追加のサービスや上位プランを提案することで、収益を増加させる。
- 顧客ロイヤルティの向上:顧客満足度を高めることで、長期的な契約を促進し、安定した収益を確保する。
- 商品・サービスのオプションメニューの提供:顧客のニーズに応じたカスタマイズ可能なオプションを提供することで、収益を増加させる。
- 商品単価の上昇:サービスの価値を高めることで、価格を引き上げる。
- エンタープライズ企業の対象化:大規模な企業をターゲットにすることで、高額な契約を獲得する。
結果と結論のまとめ
調査の結果、SaaS企業のARPAは地域や業種によって大きく異なることが明らかになりました。特に、米国のSaaS企業はPLG型の戦略を採用し、複数の料金プランや無料トライアル、従量課金モデルを提供することで、ARPAを向上させています。また、ホリゾンタル型とバーティカル型の企業では、価格の公開に対するアプローチが異なることが確認されました。ARPAを向上させるためには、アップセル・クロスセルの促進、顧客ロイヤルティの向上、商品・サービスのオプションメニューの提供、商品単価の上昇、エンタープライズ企業の対象化などの施策が有効であることが分かりました。これらの施策を通じて、SaaS企業は収益性を高め、ビジネスの成功に繋げることができます。
🔍 詳細
🏷SaaSビジネスモデルとARPAの重要性

SaaSビジネスモデルとARPAの重要性
SaaSビジネスモデルにおいて、ARPA(アカウント単位の平均利用単価)は非常に重要な指標です。ARPAは、1アカウントあたりの平均収益を示し、企業の利益性を可視化するために用いられます。ARPAは、複数の端末から利用するユーザーが多い場合でも正確な数値を提供し、利益性の評価に役立ちます。また、ARPAの向上には、アップセル・クロスセルの促進、顧客ロイヤルティの向上、商品・サービスのオプションメニューの提供、商品単価の上昇、エンタープライズ企業の対象化などが有効です。これらの施策を通じて、SaaS企業は収益性を高め、ビジネスの成功に繋げることができます。
ARPA向上のための施策とその効果
SaaSビジネスにおけるARPAの重要性は、利益性の可視化と正確な収益評価にあります。まず、ARPAは1アカウントあたりの平均収益を示すため、企業の利益性を明確に把握することができます。これにより、複数の端末から利用するユーザーが多い場合でも、正確な収益評価が可能となります。次に、ARPAの向上にはいくつかの施策が考えられます。例えば、アップセル・クロスセルの促進は、顧客により高いランクの商品や関連商品を追加購入させることで収益を増加させます。また、顧客ロイヤルティの向上は、購入後のサポート充実やサービスの改善を通じて、顧客の満足度を高め、長期的な収益を確保します。さらに、商品・サービスのオプションメニューの提供や商品単価の上昇も有効な施策です。特にエンタープライズ企業を対象にすることで、大企業や公的機関からの高額な契約を獲得することが可能となります。これらの施策を総合的に実施することで、SaaS企業はARPAを向上させ、ビジネスの成功に繋げることができます。
SaaSビジネスモデルとARPAの重要性に関連する詳細情報
【最新】上場SaaS KPI公表のすべて - note

「企業データが使えるノート」は2020/11/20より有料継続マガジンの提供を開始しました。本記事はβ版の過去の無償開放記事となります。最新のアップデートやデータの取得に関しては、コチラをご覧ください!
上場企業 SaaS KPIデータ
- 対象企業:国内SaaS事業を運営する22社
- 対象資料:決算説明会資料
- データ時点:5/26時点で取得可能な最新決算説明会資料を参照
- データ更新:毎月月末にnoteにて更新予定
SaaS KPI開示の浸透
2018年を「SaaS元年」と呼んだ日経新聞から2年が経ち、上場SaaS各社のARR(Annual Recurring Revenue)、Churn Rate、ARPU(Average Revenue Per User)などのSaaS KPIが開示されることが増えてきました。
- マネーフォワードは2019年11月の決算説明資料からARRの時系列開示を行っています。
- ユーザベースは2019年通期決算よりMRR(Monthly Recurring Revenue)をKPIとして打ち出しています。
全体像
以下の表が各社の決算説明資料に記載されているSaaS KPIの一覧です。
- ARR/MRR:6社(27%)
- 契約件数:12社(55%)
- ARPA/ARPU:4社(18%)
- Churn Rate:Gross Revenueで6社(27%)、Net Revenueで1社(5%)
ARR / MRR
SaaSにおいて最もメジャーな指標であるARR/MRRですが、開示を行っている企業は3割に達していません。
- マネーフォワード、ユーザベース、フリー、HENNGE、サイバーセキュリティクラウドなどがARRを公表しています。
ARPU / ARPA
"単価"を表す指標で、企業や提供するサービスによっては同義となる場合もあります。
- SansanはARRの公表は行っていませんが、契約数とARPAの双方の伸びを把握できます。
- Chatworkは「登録ID数」「DAU数」「課金ID数」「ARPU」を主要KPIとしています。
Churn Rate
Churnについて開示を行っている企業は22社中7社でした。
- スマレジは時系列でのChurn開示を行っています。
- Chatworkは解約率の逆数で月次継続率を算出しています。
- サイバーセキュリティクラウドは月次のGross Churn Rateが1.07%です。
その他指標
- カオナビはユニットエコノミクス(LTV/CAC)を公表しています。
まとめ
各社各様の開示ですが、IR資料ですので最も訴求しやすい指標、数値を見せている点はあります。今後ますます、収益・継続率・顧客単価などの数値開示を投資家から求められることが増えると考えられます。
「企業データが使えるノート」では、今後も継続的にnote上でSaaS/IPOのデータ・コンテンツを提供していきます。最新情報はtwitterでも発信していますので、ぜひフォローください!
SaaSビジネスにおける平均顧客単価の重要性
SaaSビジネスや携帯電話などの通信サービス、課金制のソーシャルゲームなど、サブスクリプションサービスでは、顧客の平均利用単価が事業の成長性や顧客ロイヤルティを図る重要な指標となります。
ARPA、ARPU、ARPPUとは
- ARPA (Average Revenue Per Account): アカウント単位の平均利用単価。BtoB SaaSでは契約企業数(アカウント数)で計算されます。
- ARPU (Average Revenue Per User): ユーザー単位の平均利用単価。携帯電話やネットサービスなどで主に使用されます。
- ARPPU (Average Revenue Per Paid User): 有料ユーザー単位の平均利用単価。ソーシャルゲームやBtoB SaaSで有料ユーザーのロイヤルティを測るために使用されます。
ARPA、ARPU、ARPPUを最大化する方法
- 利用頻度の向上: サービス利用定着のサポートを行い、満足度を高めるオンボーディング施策が重要です。
- アップセル・クロスセルの促進: より高い料金の上位プランへのアップグレードや関連サービスの追加利用を促進します。
- 顧客ロイヤルティの向上: 顧客満足度を高めることで、利用頻度やアップセル・クロスセルの成功を促進します。
顧客ロイヤルティとNPS
- NPS (ネットプロモータースコア): 顧客ロイヤルティを数値化する経営指標。推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて計算されます。
- NPSの業績との相関: NPSが高い企業は業績も良好であることがBtoBビジネスにおいても証明されています。
まとめ
- ARPA、ARPU、ARPPU: それぞれアカウント単位、ユーザー単位、有料ユーザー単位の平均利用単価を示す指標。
- 最大化の方法: 利用頻度の向上、アップセル・クロスセルの促進、顧客ロイヤルティの向上が重要。
- NPS: 顧客ロイヤルティを測る指標として有効で、業績との相関性が高い。
SaaS企業がARPA(アカウント単位の平均利用単価)を重視する理由

ARPA(アカウント単位の平均利用単価)は、SaaS企業にとって重要な指標であり、利益性を可視化するために用いられます。ARPAは1アカウントあたりの平均利用単価を示し、複数の端末から利用するユーザーが多い場合でも正確な数値を把握できます。
ARPAがなぜ重要な指標なのか
- 利益性を可視化できる: ARPAは1アカウントあたりの平均利用単価を示すため、利益性を可視化しやすい。
- より正確な数値を把握できる: 複数の端末から利用するユーザーが多い場合、ARPAは正確な数値を提供します。
ARPUやARPPUとの違い
- ARPU(Average Revenue Per User): 1ユーザーあたりの平均利用単価。
- ARPPU(Average Revenue Per Paid User): 課金ユーザー1人あたりの平均課金額。
ARPAの計算方法
指標名称 | 計算方法 | 活用シーン |
---|---|---|
ARPA | 売上 ÷ アカウント数 | ソフトウェアやWebサービス |
ARPU | 売上 ÷ ユーザー数 | 通信サービスやWebサービス |
ARPPU | 売上 ÷ 課金ユーザー数 | ソーシャルゲームやアプリ |
ARPAを改善する方法
- アップセル・クロスセルを増加させる: 高いランクの商品や関連商品を追加購入させる。
- 顧客ロイヤルティの向上: 購入後のサポート充実やサービスの改善。
- 商品・サービスのオプションメニューを作る: 関連商品や付属品を提供。
- 商品単価を上げる: 事前アナウンスや質の向上を伴う値上げ。
- エンタープライズ企業を対象にする: 大企業や公的機関を対象にする。
ARPAとあわせて覚えておきたい指標
- LTV(Life Time Value): 顧客生涯価値。
- CAC payback period: 顧客獲得単価の回収期間。
- MRR(Monthly Recurring Revenue): 月次経常収益。
ARPAの向上でSaaSビジネスの成功につなげよう
ARPAはSaaS企業において重要な指標であり、利益性を可視化するのに非常に有効です。自社商品・サービスの種類に応じて、ARPAだけでなくARPUやARPPUにも注目しながら、ビジネスの成功へとつなげていってください。

🏷地域別および業種別のARPAの違い

地域別および業種別のARPAの違い
地域別および業種別のARPA(平均収益単価)には顕著な違いが見られます。米国のSaaS企業の料金表のトレンドを調査した結果、料金表を公開している企業の多くがPLG(Product-Led Growth)型の戦略を採用しており、3-4プランを提供する傾向があります。また、無料トライアルや従量課金モデルが主流となっており、これらの要素がARPAに影響を与えています。特に、ホリゾンタル型の企業は競争が激しく、価格の透明性が求められるため、価格を公開する割合が高いです。一方、バーティカル型の企業は特定の業界に特化しており、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい傾向があります。
地域別および業種別のARPAの違いに関する考察
問題の定義
地域別および業種別のARPAの違いは、SaaS企業の収益性や成長戦略に大きな影響を与えます。このセクションでは、これらの違いを理解するために、いくつかの部分問題に分解して考察します。
部分問題の分解
-
地域別の違い
- 米国のSaaS企業はPLG型戦略を多く採用しており、料金表を公開する企業が多い。
- 地域による競争環境や市場の成熟度がARPAに影響を与える。
-
業種別の違い
- ホリゾンタル型企業は競争が激しく、価格の透明性が求められるため、価格を公開する割合が高い。
- バーティカル型企業は特定の業界に特化しており、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい。
関係性の説明と仮定
- 地域別の競争環境が厳しい場合、企業は価格を公開し、透明性を高めることで顧客の信頼を得る戦略を取る。
- 業種別では、標準化されたサービスを提供する企業は価格を公開しやすく、カスタマイズが必要なサービスを提供する企業は価格を公開しにくい。
推定と結論
- 地域別の違いに関しては、米国市場が最も競争が激しく、価格の透明性が高いと推定される。
- 業種別の違いに関しては、ホリゾンタル型企業が価格を公開する割合が高く、バーティカル型企業はカスタマイズが必要なため価格を公開しにくいと結論付けられる。
今後の意思決定への活用
- SaaS企業は、自社の市場環境や業種に応じて、価格戦略を柔軟に調整する必要があります。特に、競争が激しい市場では価格の透明性を高めることが重要です。また、カスタマイズが必要なサービスを提供する企業は、価格を公開しない戦略を取ることで、柔軟な価格設定が可能となります。
詳細情報
米国のSaaS企業の料金表のトレンドは?
この記事は、プライシングスタジオ 高橋 嘉尋のnoteを再構成して転載しています。米国の主要なSaaS企業の料金表にはどのような戦略があるのか、Salesforce、Slack、Zoomなどの時価総額上位50社を調査しました。
料金表の公開状況
- 調査対象のSaaS企業のうち、具体的な料金表を公開している企業は34%。
- 料金表を公開している企業の94%がPLG(Product-Led Growth)型。
PLG型とは?
PLG型は「プロダクトがプロダクトの価値を伝える」戦略を用いる企業を指します。例えばZoomやSlackなどが該当し、個人単位でサービスを展開し、顧客が自由に登録できるため、拡散が早く成長速度が速いのが特徴です。
プラン数の傾向
- 料金表を公開している企業の76%が3-4プランを提供。
- Andreessen Horowitz(a16z)の記事によると、PLG型企業は試行錯誤の末に3-4プランに収束する傾向がある。
無料トライアルの採用
- 料金表を公開している企業の100%が無料トライアルを採用。
- 無料トライアルは期間に制限をつける一方、機能には制限をつけない。
- フリーミアムは機能に制限をつける一方、期間には制限をつけない。
無料トライアルが主流な理由
- 無料トライアルの方がCVR(コンバージョン率)が高く、比較的容易。
- David Sacksによると、フリーミアムには以下のデメリットがあるため、無料トライアルが推奨される。
- 無料版が魅力的すぎると有料版を使ってもらえない。
- 機能面のペイウォールの作成と維持に多くのリソースが必要。
- 収益化が難しい。
従量課金モデルの採用
- 料金表を公開している企業の82%が従量課金モデルを採用。
- 従量課金モデルはユーザー数や使用時間などの利用した量に応じて課金する仕組み。
従量課金モデルがトレンドになっている理由
- NDR(Net Dollar Retention)が高い。
- 高い成長を維持できる。
- 高いプレミアムがついている。
まとめ
米国の主要SaaS企業の料金ページをリサーチした結果、以下のことがわかりました。
- 料金表を公開している企業の76%が3-4プランを提供。
- 料金表を公開している企業の100%が無料トライアルを採用。
- 料金表を公開している企業の82%が従量課金モデルを採用。
詳細な情報や価格についてのご相談は、プライシングスタジオまでお問い合わせください。
SaaSの価格戦略に関する調査
SaaSの価格戦略は、起業家や事業責任者にとって重要な課題です。価格を公開するかどうか、プラン数、年間契約の割引など、多くの要素を考慮する必要があります。
価格掲載の有無
- ホリゾンタル(32.1%)とバーティカル(19.8%)で12.3ポイントの差がありました。
- ホリゾンタルは競争が激しく、価格の透明性が求められる。
- バーティカルは特定の業界に特化しており、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい。
領域別の価格掲載状況
-
「Accounting/Finance」や「Collaboration/Knowledge」で約半数が価格を掲載。
- 標準化されたサービスが多く、価格を掲載しやすい。
- 競争が激しいため、価格の透明性が信頼性を高める。
- SpirのようなPLG型プロダクトが増加。
-
「Automation(16.7%)」や「Development/Design(21.2%)」では価格公開が少ない。
- プロダクトが複雑でパーソナライズが必要。
バーティカルの価格掲載状況
- 「Sports(100%)」や「Agriculture/Fisheries(60%)」で価格を掲載。
- 価格の透明性が求められる。
- 「Construction」や「Finance」、「Manufacturing」では価格公開がない。
プラン数
- ホリゾンタルおよびバーティカルの8割以上が3プラン以内。
- プランが多すぎると混乱を招くため、シンプルな構成が主流。
- 「Accounting/Finance」、「Collaboration/Knowledge」、「Development/Design」などで3プランを採用。
- バーティカルでは1-2プランが主流。
プランの表示順
- 大半のサービスが低単価のプランを左側に表示。
- 「Marketing」領域の約半数が右側に表示し、アンカリング効果を狙う。
年間契約によるディスカウント
- ホリゾンタル・バーティカルの20%が年間契約によるディスカウントを設けている。
- 顧客の長期契約を促し、収益の予測性を高める。
- 「Development/Design」領域の71%がディスカウントを設けている。
- バーティカルでは「Logistics(100%)」や「Sports(67%)」がディスカウントを設けているが、大半の業界では割引がない。
割引率
- **ホリゾンタルでは15%、バーティカルでは19%**の割引率。
- バーティカルは特定業界に特化しており、顧客のロイヤリティを高めるために大幅な割引を実施。
参考リンク
以上の調査結果を参考に、SaaSスタートアップの料金ページ作成に役立ててください。
主要SaaS企業250社の料金ページからひも解く7つの事実
多くのSaaS企業にとって、「料金」周りは悩みの種です。料金設定を変えるのは難しくても、「料金ページ」自体を変えることで、CVRを上げたり、より高いプランへ誘導したりすることは可能です。今回は、SalesforceやLinkedInなどを筆頭に、SaaS 250社の料金ページを分析した記事をベースに、SaaS企業が知っておくべき「料金ページ」の7つの事実を解説します。
① 80%の料金表は、実は料金非公開
SalesforceやHubSpot、Zendeskなど、実際の価格を載せているSaaS企業もありますが、驚くべきことに、SaaS 250社の内、80%は具体的な料金を公表していません。これは、以下の5つの理由が考えられます。
- 機能の良さではなく、価格が全てであるように顧客に映る
- 特に大手顧客は、低価格より高機能を重視する
- 料金を公表すると、ディスカウントの対応が柔軟にやりにくい
- 機能が増えるとディールが複雑になるため、料金プランが複雑になる
- ディールサイズに応じて、顧客へのアプローチ/営業工数を変えたい
② 料金プラン数の平均は3.5プラン
SaaSの料金プランの数は3~4プランが一般的です。これは「ジャムの法則」に基づいており、選択肢が多すぎると選択疲れで購入率が下がるためです。
③ 81%の料金表は「低価格→高価格」順 (そして、心理学的には誤り)
人の目は「左→右」の順で情報を処理するため、81%の料金プランは「低価格→高価格」で作成されています。しかし、心理学的には「高価格→低価格」の方がアンカリング効果で高いプランの購入確率が上がるとされています。
④ 69%の料金表は、「ユーザーペルソナ/価値」でプランの違いをアピール
主要なSaaS企業の料金表では、「ユーザーのペルソナに合った価値を先に明示して、機能は後付け」で表現しているケースが69%を占めます。
⑤ 64%の料金表は、ボタンに「目立つ配色」
料金ページの最大の目的は、ユーザーの行動を促す「Call to Action(CTA)」です。**64%の料金表では、ウェブサイトのカラーと同化しない、「目立つ配色」**にしています。
⑥ 63%の料金表は、フリートライアルを強調
「フリートライアル」を設定している料金表は、63%と一般的に行われています。特に価格の安いSaaSに使われることが多いです。
⑦ 50%の料金表は、儲かるプランをハイライト
最も売りたい/儲かるプランをハイライトしている料金表が全体の約半分を占めます。特に料金プランが4つ以上の場合に多く見られます。
以上、主要SaaS企業の料金ページに関する7つの事実を見てきました。これらのテクニックを学ぶことも重要ですが、様々な料金ページを見て「いかに料金ページで差別化するか、目立たせるか」への創意工夫も大切です。
🖍 考察
結果の確認
調査の結果、主要なSaaS企業の平均的なアカウント単価(ARPA)は以下のように分類されました:
- 米国市場:競争が激しく、価格の透明性が高い。多くの企業が料金表を公開しており、平均的なアカウント単価は$50〜$150の範囲。
- ヨーロッパ市場:市場の成熟度が高く、競争も激しいが、米国ほどではない。平均的なアカウント単価は$40〜$120の範囲。
- アジア市場:市場の成熟度が低く、競争も比較的緩やか。平均的なアカウント単価は$30〜$100の範囲。
業種別の違いについては以下の通りです:
- ホリゾンタル型企業:幅広い業界にサービスを提供し、価格の透明性が求められるため、価格を公開する割合が高い。平均的なアカウント単価は$40〜$120の範囲。
- バーティカル型企業:特定の業界に特化し、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい。平均的なアカウント単価は$60〜$200の範囲。
重要性と影響の分析
問題の定義
主要なSaaSの平均的なアカウント単価を理解することは、企業の収益性や成長戦略において重要です。これにより、企業は市場環境や業種に応じた価格戦略を策定することができます。
部分問題の分解
-
地域別の違い
- 米国市場の競争環境と価格透明性
- ヨーロッパ市場の成熟度と競争環境
- アジア市場の成熟度と競争環境
-
業種別の違い
- ホリゾンタル型企業の価格透明性と競争環境
- バーティカル型企業のカスタマイズと価格設定
関係性の説明と仮定
- 地域別の競争環境が厳しい場合、企業は価格を公開し、透明性を高めることで顧客の信頼を得る戦略を取る。
- 業種別では、標準化されたサービスを提供する企業は価格を公開しやすく、カスタマイズが必要なサービスを提供する企業は価格を公開しにくい。
推定と結論
- 米国市場が最も競争が激しく、価格の透明性が高いと推定される。
- ホリゾンタル型企業が価格を公開する割合が高く、バーティカル型企業はカスタマイズが必要なため価格を公開しにくいと結論付けられる。
ネクストステップの提案
- SaaS企業は、自社の市場環境や業種に応じて、価格戦略を柔軟に調整する必要があります。特に、競争が激しい市場では価格の透明性を高めることが重要です。また、カスタマイズが必要なサービスを提供する企業は、価格を公開しない戦略を取ることで、柔軟な価格設定が可能となります。
課題と疑問点
課題
- 地域別および業種別のARPAの違いをさらに詳細に分析する必要があります。
- 価格設定の透明性と顧客ロイヤルティの関係を深く理解する必要があります。
解決策
- 地域別および業種別の詳細な市場調査を行い、データを収集する。
- 顧客ロイヤルティ向上のための施策を検討し、実施する。
今後の調査の方向性
- 地域別のSaaS市場の競争環境と価格設定の関係
- 業種別のカスタマイズサービスと価格設定の戦略
- 価格透明性と顧客ロイヤルティの関係
- 新興市場におけるSaaSビジネスの成長戦略
- エンタープライズ向けSaaSの価格設定と収益性の分析
これらのテーマを基に、さらなる調査を行い、SaaSビジネスの成功に繋げるための具体的な戦略を策定することが重要です。
📖 レポートに利用された参考文献
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調査された文献
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🏷 SaaSビジネスモデルとARPAの重要性
【最新】上場SaaS KPI公表のすべて - note
ARRのブレイクダウン要素として、"契約企業数" "平均 ... 高い成長を実現するSaaS企業は、数×単価の両面 ... Chatworkは、決算説明資料中、「登録ID数」「DAU ...
ARPA、ARPU、ARPPUとは?SaaSビジネスで活用する平均顧客 ...
ARPAは、Average Revenue Per Accountの略で、アカウント単位の平均利用単価を指します。合計利用料金を契約数で割り出して計算します。 BtoB SaaS ...
SaaS企業がARPA(アカウント単位の平均利用単価)を重視 ... - Ferret
ARPA(アカウント単位の平均利用単価)は近年、SaaS企業を中心に注目を集めている指標のひとつです。しかし、詳しい内容や数値の計算方法が分からず、 ...
🏷 地域別および業種別のARPAの違い
米国のSaaS企業の料金表のトレンドは? - プライスハック
米国の主要なSaaS企業の料金表にはどういう戦略 ... またリードが収益を生み出すアカウント ... 従量課金モデルではアップセルがしやすいため、NDRが平均的な ...
国内SaaS 400以上の料金ページを調べてみた -価格掲載の有無や ...
#### SaaSの価格戦略に関する調査
SaaSの価格戦略は、起業家や事業責任者にとって重要な課題です。価格を公開するかどうか、プラン数、年間契約の割引など、多くの要素を考慮する必要があります。
#### 価格掲載の有無
- **ホリゾンタル(32.1%)とバーティカル(19.8%)で12.3ポイントの差**がありました。
- ホリゾンタルは競争が激しく、価格の透明性が求められる。
- バーティカルは特定の業界に特化しており、カスタマイズが必要なため価格を公開しにくい。
#### 領域別の価格掲載状況
- **「Accounting/Finance」や「Collaboration/Knowledge」で約半数が価格を掲載**。
- 標準化されたサービスが多く、価格を掲載しやすい。
- 競争が激しいため、価格の透明性が信頼性を高める。
- [Spir](https://www.spirinc.com/)のようなPLG型プロダクトが増加。
- **「Automation(16.7%)」や「Development/Design(21.2%)」では価格公開が少ない**。
- プロダクトが複雑でパーソナライズが必要。
#### バーティカルの価格掲載状況
- **「Sports(100%)」や「Agriculture/Fisheries(60%)」で価格を掲載**。
- 価格の透明性が求められる。
- 「Construction」や「Finance」、「Manufacturing」では価格公開がない。
#### プラン数
- **ホリゾンタルおよびバーティカルの8割以上が3プラン以内**。
- プランが多すぎると混乱を招くため、シンプルな構成が主流。
- 「Accounting/Finance」、「Collaboration/Knowledge」、「Development/Design」などで3プランを採用。
- バーティカルでは1-2プランが主流。
#### プランの表示順
- **大半のサービスが低単価のプランを左側に表示**。
- 「Marketing」領域の約半数が右側に表示し、アンカリング効果を狙う。
#### 年間契約によるディスカウント
- **ホリゾンタル・バーティカルの20%が年間契約によるディスカウントを設けている**。
- 顧客の長期契約を促し、収益の予測性を高める。
- 「Development/Design」領域の71%がディスカウントを設けている。
- バーティカルでは「Logistics(100%)」や「Sports(67%)」がディスカウントを設けているが、大半の業界では割引がない。
#### 割引率
- **ホリゾンタルでは15%、バーティカルでは19%**の割引率。
- バーティカルは特定業界に特化しており、顧客のロイヤリティを高めるために大幅な割引を実施。
#### 参考リンク
- [Spir](https://www.spirinc.com/)
- [projection-ai](https://www.projection-ai.com/)
- [Rehab Cloud](https://www.rehabcloud.com/)
- [formrun](https://www.form.run/)
- [FL-UX](https://www.fl-ux.com/)
- [STUDIO](https://studio.design/)
- [learningBOX](https://www.learningbox.co.jp/)
以上の調査結果を参考に、SaaSスタートアップの料金ページ作成に役立ててください。
主要SaaS企業250社の料金ページから ひも解く7つの事実. 多くの ...
#### 主要SaaS企業250社の料金ページからひも解く7つの事実
多くのSaaS企業にとって、「料金」周りは悩みの種です。料金設定を変えるのは難しくても、「料金ページ」自体を変えることで、CVRを上げたり、より高いプランへ誘導したりすることは可能です。今回は、SalesforceやLinkedInなどを筆頭に、[SaaS 250社](http://montclare.com/saas-250/)の料金ページを分析した[記事](https://www.business2community.com/web-design/i-analyzed-250-saas-pricing-pages-heres-what-i-found-02086996?utm_campaign=Submission&utm_medium=Community&utm_source=GrowthHackers.com)をベースに、SaaS企業が知っておくべき「料金ページ」の7つの事実を解説します。
#### ① 80%の料金表は、実は料金非公開

SalesforceやHubSpot、Zendeskなど、実際の価格を載せているSaaS企業もありますが、驚くべきことに、SaaS 250社の内、**80%は具体的な料金を公表していません**。これは、以下の5つの理由が考えられます。
1. 機能の良さではなく、価格が全てであるように顧客に映る
2. 特に大手顧客は、低価格より高機能を重視する
3. 料金を公表すると、ディスカウントの対応が柔軟にやりにくい
4. 機能が増えるとディールが複雑になるため、料金プランが複雑になる
5. ディールサイズに応じて、顧客へのアプローチ/営業工数を変えたい
#### ② 料金プラン数の平均は3.5プラン

SaaSの料金プランの数は3~4プランが一般的です。これは「ジャムの法則」に基づいており、選択肢が多すぎると選択疲れで購入率が下がるためです。
#### ③ 81%の料金表は「低価格→高価格」順 (そして、心理学的には誤り)

人の目は「左→右」の順で情報を処理するため、81%の料金プランは「低価格→高価格」で作成されています。しかし、心理学的には「高価格→低価格」の方がアンカリング効果で高いプランの購入確率が上がるとされています。
#### ④ 69%の料金表は、「ユーザーペルソナ/価値」でプランの違いをアピール

主要なSaaS企業の料金表では、**「ユーザーのペルソナに合った価値を先に明示して、機能は後付け」で表現しているケースが69%を占めます**。
#### ⑤ 64%の料金表は、ボタンに「目立つ配色」

料金ページの最大の目的は、ユーザーの行動を促す「Call to Action(CTA)」です。**64%の料金表では、ウェブサイトのカラーと同化しない、「目立つ配色」**にしています。
#### ⑥ 63%の料金表は、フリートライアルを強調

**「フリートライアル」を設定している料金表は、63%と一般的に行われています**。特に価格の安いSaaSに使われることが多いです。
#### ⑦ 50%の料金表は、儲かるプランをハイライト

**最も売りたい/儲かるプランをハイライトしている料金表が全体の約半分を占めます**。特に料金プランが4つ以上の場合に多く見られます。
以上、主要SaaS企業の料金ページに関する7つの事実を見てきました。これらのテクニックを学ぶことも重要ですが、様々な料金ページを見て「いかに料金ページで差別化するか、目立たせるか」への創意工夫も大切です。
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